ロルフムーブメント


ムーブメント、つまり、動きに特化したセッションです。ロルフィングの観点から、動きにより繋がりを、よりしなやかに、よりラクに、そんな身体教育的な側面からセッションを提供しています。


 

資格:ロルフィングにはベーシック10シリーズ以外に、動きの身体教育を目的としたトレーニングが存在し、そのトレーニングを修了するとロルフ・ムーブメントの認定資格者として認められます。わたしはブラジルでのトレーニングでロルフムーブメントの資格を取得しました。

 

特徴:ロルフィングベーシック10シリーズでも動きの身体教育はやっていきますが、限られた時間内で行われる10回完結のシリーズでは、どうしても動きについての身体教育にとれる時間が限られてきます。そのため、伝えきれないこと、提案できるはずのこともまだあるでしょう。それはポスト10シリーズで扱うこともできますが、ロルフムーブメントとして、より動きや感覚と身体との繋がりを取り戻す、または、洗練することに意図を持って提供されるセッションとなります。

 

内容:まずマッサージベッドでの施術を行います。施術の終了後、身体の動きの繋がり、筋肉の発火の順番をスムーズにコーディネートするような動きの教育をします。ベーシック10シリーズとの違いは、施術後の動きの調整に、より時間と意識をとっている点にあります。しかし、身体が何を求めているのかを読み取っての施術となるので(そのことはベーシック10シリーズと変わらないため)場合によってはマッサージベッド上の施術がメインとなることもあります。

 

 

割合:手技によるマッサージベッドでの施術は40〜45分、20〜30分がムーブメントや調整の時間となるのが一般的です。動きの教育の時間は全体に比べると少ないかもしれません。あるいは、時として全くないこともあるかもしれません。

 

 

手技の理由:いくつか理由がありますが、まず、ムーブメントなのにマッサージベッド上での手技による施術があるという点においては、2つの要素があります。一つは、身体教育として動きを行う時、過去のパターンで動いてしまう、そのパターンを外すには、前提条件として、身体の構造がより柔軟に、新しい位置関係で動けるためのキャパシティがあることが必要です。例えば関節の柔軟性が変わっていないのに新しい動作をしようとしても物理的な制限が邪魔してしまいますね。それを外すことをまずやります。そして、もう一つの理由は、マッサージベッド上でただ横になっているだけでも、実はムーブメントの要素はあるのです。動きには、身体の五感が関わってきています。空間の認識の仕方、音の聞き方、目の動かし方、皮膚感覚の差、などなど。その偏りが動きの偏りを生み出してしまいます。(例えば、右目の見え方が狭ければ、左目で視界を補おうとし姿勢や動作が左目を使いやすいように変わっているでしょう。)その五感にアプローチするのに、手技や施術中の間合いなどで無意識の空間認識に感覚を教育しているのです。たとえば、事故で右側を強打した、とします。そのとき、ぶつかってきた空間の認識が欠けていたり逆に過敏になっていたりすることがしばしばあります。そして、それが普通となっているので本人には気がつくことができません(だから第三者となる施術者が必要なのですが。。)その空間認識の回復のやり方はいくつかあります。ベッドから起き上がって動くことで回復することもできますが、マッサージベッド上で施術を受けることでも回復できます。

 

 

ねらい:動きというと、一般的にイメージされるのは体操やヨガのような大きな動作になるかもしれません。しかし、わたしのセッションで提供されるムーブメントというのは、体操のような動きとは異なります。より小さな動き、イメージと身体との連動、というのが主になるかと思います。このとき、何を意図してやっているのか?ですが、身体の内側のつながりを作ること、連動性、まとまり感、しなやかな動き、そういったものに焦点をあてています。たとえば、足を動かす時、よくあるのが、肩や首、お腹の一部を固めてしまう。動きがブツ切れになっていることが多くあります。そのブロックに気づき、そこを手放すことで動きについていかず固まっていた部分が連動し始め、よりしなやかな動きを取り戻すことに繋がっていきます。

。。いわゆる体操的なものをイメージしていると少し期待と違うかもしれませんね。

 

 

10シリーズとの違い:ベーシック10シリーズではセッションの目的があり、各回でロルフィングのレシピに書かれている目的を達成することが最大の目標であり意図はそこにあります。ロルフムーブメントではレシピからは自由になりますが、ロルフィングの原理原則を基盤に、身体教育をすることで身体の繋がり、連動性やまとまりを導くことに意図が向いています。それが自然とセッションの流れの差を生み出していきます。

 

 

 

 


 

ひとは動作のパターンをもって日常を生活しています。

そこには、くせがあり、不必要な力の入り方、固めてぎこちない動作、そういうパターンとともに生きています。

 

(その動作のパターンは、そのまま「姿勢」にも影響を与えています。)

 

 

セッションルームに入ってこられて、すぐにムーブメントの「教育」的な誘導をしても、

なかなか繊細な動作につながらず、体への理解は深まりにくいです。

 

 

なぜなら、ひとは動こうとしても、無意識のうちにパターンをなぞるからです。

つまり、柔軟に優雅に動こうと学習しようとしても、ぎこちなさの集合としてその動きをマネようとします。

これでは、体に染み込む学習とはなりません。既存のパターンを組み合わせているだけです。

 

 

では、新しい動きを学習するにはどうしたらいいか?

 

 

まずは、身体がニュートラルな状態に移行することが必要です。

それには、肉体の構造的な制限が外れていることも条件となってきますね。

 

 

肉体の制限があれば、そこが引っかかり、パターンから抜け出せないことになりますし、

身体がニュートラル(筋膜の張力が偏ったり、固着や癒着したりしていない状態)になれば、

体は自由に制限のない状態で動くことができます。

そうすれば、既存のパターンにないような、新しい、動きにも道が開けてきます。

 

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そのニュートラルな身体の状態に移行するために、マッサージベッドでの施術が必要となってきます。

そして、ニュートラルな状態になったときには、身体はより自由に動くことができています。

そして、身体の感覚はより繊細になり、注意深く動きを学習することができるのです。

 

 

(ポイント)

 

動きの学習には小さな動き、外から見た目動いているかどうかわからないような、繊細な動きが脳への学習には効果的です。大きな動きですと、すでにそれは既存のパターンに乗った軌道の動きをしていますので。

 

 

動きの学習のポイントは、注意深い意識を張り巡らせた「繊細な動き」、そして、動き出しの『瞬間』、そのタイミングが既存のパターンに乗っかる前の、新しい動きの軌道へと働きかける大切な分岐点なのです!

 

 

 

それには、第三者となる観察者(ロルファー)が必ず必要です。

なぜなら、自分ではパターンの中にいるためそのパターンに気づくことができないからです。

 

「これがまっすぐだ」と思っている自分の基準が、すでにズレているのです。