体とトラウマ、Q&A
わたしのロルフィングを受けに来られるクライアントさまにはトラウマや心についてご興味のある方が多いようです。
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いくつかわたしの個人的な見解をボディワークの観点からお話しておけたらと思います。(※わたしは心理療法はしていませんので、心理療法を受けたい方は専門家にご相談してください。)
体とトラウマ、説明しようとすると結構専門的な話になってわかりにくい。。そこで、質問されたときの出来事を参考に、会話形式でお話してみましょう。
そして、ちゃんとする(しっかりする?)には何が必要(どうなること、状態)が必要なんですかー?
それは、SE(ソマティックエクスペリエンス)からの観点、あるいはポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)から言っていることで〜、
ぼくがSEを受けていた頃は、セラピストの方によく言われていたし、実際に瞑想すると調子悪くなっていたのでね。
で、その仕組みは〜、、。
ブログやトラウマワークの解説ページでちょくちょく触れられていたと思うけど、迷走神経の仕組み。
話長くなるで。。
なので、簡潔に言おう!
簡潔に言うってムズカシイ〜。もうちょい待ってー。
あかん、話しながら行こう。トラウマ化する仕組みって知ってる?ポリヴェーガル理論。(多重迷走神経理論)
にゃるほど〜。
スティーブン・ポージェスのPolyvagal theory.
・生存のために動物には3つの作戦がある「逃げる・闘う・凍りつく(死んだふり)」
ふむ、でその(3つの)行動を支配している神経系がある。
『交感神経』と『副交感神経』。神経系を興奮化させるのと、沈静化させる。
しかーし、ポリヴェーガル理論で大事なのは、
「副交感神経」には進化の過程から2つに働きが分類される。それが、『背側迷走神経』と『腹側迷走神経』。
・(つまり、交感神経と副交感神経の二つだけではなく)3つの神経系があるということ。
①腹側迷走神経、②交感神経、③背側迷走神経、
さて、ちょっと話は逸れて〜、、。3つの戦略のうち、
「逃げる/闘う」反応で生き延びた場合はトラウマ化しない。
しかし、「凍りつき反応」ではトラウマ化する可能性がある。
ここはOK?
逃げる/闘うモードの時、「②交感神経」のエネルギーが高まって(!)、、めっちゃ逃げるとか闘うとかします。、、そして、その行為によって神経系のエネルギーは消費され、エネルギーは身体から発散されて残りません。これOK?
逃げる/闘う反応で、、めっちゃ頑張って、、「①交感神経」が高まります。高まって、高まって、、もうめっちゃ高まります。。(必死で逃げたり戦ったりします。)
やばい〜、、(もう無理や、逃げきれない。。)神経系が限界に達した時、、システムをシャットダウンします。死んだふり、気絶、、します。
これが、凍りつき反応ですね。
「②交感神経」が限界まで高まって、、このままではシステムが耐えられない、、シャットダウンして麻痺させます。その、シャットダウンさせる神経系が「③背側迷走神経」なのです〜!
※この動画では死んだふり状態を麻酔で引き起こしています。(11:40から、しろくまをヘリで追いかけ、麻酔銃を打ち込みます。 13:18あたりで、しろくまが麻酔から覚める様子が撮影されています。)
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身体システムのシャットダウン
ヘリで追いかけられ、交感神経は高い活性化状態となります。その後、麻酔を打たれることでシステムはシャットダウンされます。このとき、交感神経の高い活性化は解放されないまま閉じ込められ身体システムの中で回りつづけています。
脱活性化(目覚めへの解放)
麻酔から覚める時、しろくまはしばらくの間、震え続けます。これをdischarge(脱活性化)といい、閉じ込めれれていた神経系の高い活性化を解放しているのです。 自然界の野生動物はこの脱活性化を自然と行い、神経系の活性化レベルを下げています。
(※人間は大脳が発達しているため、社会的にここは泣くべきではない、、などと解放の機会を失い脱活性化に失敗します。あるいは、麻酔など。
ここでは、③背側迷走神経をめーっちゃ高活性化させて、高まっている②交感神経を押さえ込んでます。つまりー、「限界まで高まった②交感神経系」+「限界まで高まった③背側迷走神経」=きゃー!という神経系の限界を超えた高まり。。が体の中に閉じ込められているのです。
そゆこと。
①普段の安心安全の状態。(”腹側”迷走神経が優位)
で、トラウマ化されているとは?
神経系のエネルギーが「常に高い」、あるいは、「ちょっとしたきっかけで、すぐに神経系が高まってしまう」、そしてその高い活性化を「自然に解放して低いエネルギー状態に帰ってこられない」、、というパターンを持っている、といえますな。
(※健全な神経系とは、①エリアの安心安全モード、哺乳類として、社会生活を営める、コミュニケーション、笑顔、そんな状態にいること。あるいは、何かのきっかけで逃げる戦うモードになることは必要ですが、そこから通常の安定モードである①エリアに”自然と”帰ってこられる柔軟性を持った神経系であること。)
このわけのわからん神経系のパターンを徐々に変えていき、安心安全モードに自然と帰ってこられるようになること。
神経系が活性化しても、自動的に脱活性化し、通常モードに戻ってこられるようになること。
わかりやすいし、その場では開放感をえられるので、一般受けしてありがちだけど、、。危険、トラウマの追加になってしまう。
トラウマを多く抱えた人、つまり、もともと高エネルギー状態だからしんどい人。カタルシスのワークでは、さらに交感神経を活性化し続けて、、振り切れるまで高エネルギー化していく。。そして、シャットダウンして、凍りつき反応の領域までいくと、、ボーとしたり、気持ちよくなったり。開放感をえたり。。脳内麻薬が出ています。
なぜなら?
トラウマ=凍りつき反応=「アクセル全開(交感神経の高活性化)+ブレーキ全開(背側迷走神経の高活性化)」
そのブレーキ全開にしている背側迷走神経をさらに高めるパターン⇒つまり、トラウマのパターンを強化して作り上げてしまうから。
”腹側”迷走神経は、徐々に健全な脱活性化を促す神経系です。背側迷走神経が急ブレーキだとすると、”腹側”迷走神経はマイルドなブレーキ。
背側迷走神経の急ブレーキは、神経系の活性化をさらに高めて、全開のアクセルを解放せずに無理やり急ブレーキで押さえ込んでいるため、異常な活性化状態です。
しかし、”腹側”迷走神経は徐々にゆっくりと神経系のエネルギーを抜いていく、健全な解放のブレーキです。
(SE的には”腹側”迷走神経を強化していきたいのに。)
しかし、僕は神経系が人間の全てだとは思っていなくって、これだけが原則とは思っていません。
妄想や思考や感情にはいって行ってしまう(今ここにいない、現実に、周りに気づいていない状態)ようなら、それは違う方向に行っているかも。
トラウマの渦に入って行ってしまい、ぼーっとしたり、痛みが出たり、苦しくなったり。しんどいっていうのはそういうこと。あとは、瞑想終わりで現実の生活がしんどくなったり。
目をつむると、外の世界と切り離されやすくなり、自分の内側に引き込まれやすくなる、、つまり、トラウマを多く抱えた人はトラウマの渦に巻き込まれやすくなる。なので、体が十分に整っていない人は目をつむって集中する類のワークは要注意ですね。
やばいな〜、とか、どこかに行ってしまって現実の感覚が薄くなってしまっていたら、目を開けて周りを見回す、などの対処が必要です。
しかし、気づいたときには深いトラウマの渦に巻き込まれてしまっている、ということが少なからず起こり得るので、すぐにしんどくなりがちな方は体を整えることをまず考えてみるのがいいかもしれませんね。
>そしてちゃんとする(しっかりする?)には何が必要(どうなること、状態)と考えてるのですかー?
SEは体の中でも神経系しか見てないし、 体の現実の全体から見ると、ほんの一部、 しかも治癒力の観点から見ると、かなり表層しか扱っていない限定的なもの。という感じがする。
ただし、この3次元の現実世界では役に立つと思うけど。 癒しという世界では、かなり限定的。という感想です。
SEで”10”の変化がやっと起こるとき、施術では”10000”の変化が深いところから根本的に起こる。そんな感じがする。
わたしたちの本質とは?トラウマがどうことか、傷がどうのとかではない、、それ自体は本質の光を遮っている歪みでしかない。その歪みにフォーカスしても遮るものが拡大していくだけ。本質の光が現れてくること、それが、ボディワークのアプローチです。静けさ、、そこに光があります。